貴女が写してくれた一枚に心が揺らぎを憶え綴り始めたいと想った。
[プロローグ]
カーテン越しから入り込む日差しで目を覚ます。
喫茶店のマスターが淹れてくれるコーヒーとバタートースト
の香りを2人で楽しみ食べ終えると1日の始り。
木漏れ日の入る路地を見つけると踊り出す
衣を脱いで私だけに見せてくれる柔かな表情。
踊り終えると隅に座り一息つく仕草も変わらない。 
1日しか見れない時の空気。
傍らで感じるのは眼差と心音。
その眼差しでレンズ越しから対峙しているといつまでも写し続けたい。
彼女の理想には嘘がなく、目を離すと前にどんどん駆け出す。
互いに影響し合い変化する色と香り。
視ていたものがまた違う視え方に変わる頃、瞼を閉じる。
Tuiokuの日々を想いながら。
1夢の島
夜道で車の光に当てられた時の眩しさ。
今朝の太陽も同じく眩しかった。
だが太陽は微笑みかけているように見え、
もう一つの太陽も微笑み返すように見える。
シャッターを切る度に高鳴る心音。
髪は鳥のように宙を舞う。




雨時雨
雨上がりの雲に見隠れした太陽。
鈴音のような笑い声。
裏路地は肌寒くポツポツと雨粒が滴り落ちてくる。
冷えたビールと体温。
静寂に響く心音とうねり続ける海音。

歩く辞書
この日、約束した時間につけず着いても互いに待ち合わせ場所付近を何度もぐるぐると回りようやく落ち合ってドーナツとカフェオレを買い公園へ向かう。テスト終わりのこの日はまだ残暑。歩いて向かっていると彼女が持っている容器から水滴がポタポタと落ち中身のカフェオレはもう空に近かったことに笑う。暑さと歩き回ったせいで喉が乾いたのだろう。目の前の信号が青色に変わったと思い歩こうとするがまだ赤色だった事に気づかず彼女の腕が線路の踏切棒のように落ち私の体を支えた。次の信号で僕たちの反対側に立っているカップルの男性が歩こうとする女性を止めようと腕を下ろし支えた光景を見てボソッと携帯を触っている彼女の耳元で話すと今後は彼女が笑う。園内に入るとひんやりとする空気が体を包み、小鳥のさえずり、下を見ると高い木々の影が落ち変わらない風景に懐かしさを感じならが座る場所を探す。半分個したドーナツを口に入れカフェオレを飲むと幸せなひと時の味が喉に落ちる。太陽の光は芝生の上に照明を当て風は彼女の体をいつまでも回し続ける。
一人メリーゴーランド。
帰り道、いくつもの問いに答えていくうちに歩く辞書というあだ名が付いた。


海蛍
雨上がり、電車の椅子に座り目的地へ向かう。
降りると潮風が迎え入れてくれて風に道を任せることにした。
だがまず、腹を満たすため駅に着いてから調べたピザ屋へ。
レモネードはシュワシュワ、ピザは血糖値を上昇させているのに手が止まない。
坂を降り海の香りが近づくと足が速まる。膨れたお腹のまま。
途中に立ち止まったお店でビール缶をプシュッ。
ネコの様に尻尾をふりのんびり。
海に着くと音楽を流しながら歌い、
防波堤の上でステップや寝てても誰も気にしない。
歌こえは私を無の状態にしてくれる。.
夜風はワンピースを揺らし背中は哀愁漂う。
一面に広がる海は凪で水面の蛍達にとっては絶好の船出日和。遠くへ遠くへ。
あの場所で伝えてくれた言葉に心がじわじわと溶け出す。
口に入れたままのチョコレートのように。
帰り道に食べたおにぎりはこれまでになく特別な味。
この町は多くの住人と出会え、笑顔に満ち溢れ、足を止める場所があった。
必ずまた来よう。必ず。
ゴールドアワー
光は影を伸ばすが時に伸ばしてくれない。
包んでくれる時もあれば包んでくれない時もある。
片手で振っても両手で振っても留まってはくれない。
光と鬼ごっこ。いつも鬼は人間。
だから木を見ると少しい羨ましい気持ち。
道端の木も土の中に棲む微生物も光を蓄えられていいなあ。
例えば人間が光を蓄えられたらどうなるんだろう。
何兆個の細胞と粒子が一緒にジェットコースターみたいに
ぐるぐる体内を巡り巡ると環境に優しい体の完成。
だけど、できないから機械の一コマにたくさん閉じ込める。
気分で変わる光と横に居てくれる光を一緒にゴールドアワー。
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